Girl


□White and Blue
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 晴天の青空。こんな天気のいい日は買い物日和だ。
「う〜んと、次はっ、そうそう! パン買わないとなっ」
ルフィがミニスカートのすそを翻しながらたくさん食材が詰まった紙袋を手に歩いていく。
「ん?」
ふと後ろを振り返ると何やら怪しげなサングラスをかけた黒づくめの男がこちらを見ていた。
「……ま、いっか。とりあえずパン買って帰らないと」
近くのベーカリーに入って食パンを三斤、菓子パンを十個買って出てきた。
「よしっ、これでOKだ! 帰るぞー! っと、その前にっ」
ルフィは先ほど購入したパンが入った紙袋の中をごそごそと探ると菓子パンを一個出してかじりついた。
「うん、うまっ! ふ?」
ふと横に目を移すと、角に先ほどの男が陰に身を隠しながらこちらを覗いていた。
「なんだろーなぁ、アイツ……」
そう思いながらもルフィは歩き出した。ベーカリーの先にある路地に入って後ろを振り返ると、まだその男はいた。
「……ついてくる」
ルフィは試しに駆け出してみた。すると男もつられて駆け出す。ルフィが振り返るとまだ男はついて来ていた。
ルフィがこれはつけられていると感じダッシュをかけると男もダッシュを掛けながら舌打ちをした。路地を抜けて、ルフィが再び後ろを振り返ると男の姿はなかった。振り切った、と思い一息ついた。
「ほっ……けど、いったい何なんだぁ?」
ルフィが壁に片手を置いて後ろを振り返って、前を見た時だった。目の前にさっきの男が立っていてルフィは面食らった。
「! だっ、もがっ」
ルフィは男に口を押えられ、程なくして二人の居る場所に横付けされた高級車の後部座席に押し込められた。
「いったー! 何…」
ルフィが自由になって隣を見ると、真っ赤な髪をした男が座っていた。先ほどルフィを追っていた黒づくめの男がドアの外から男に声をかけた。
「社長、連れてまいりました!」
「ご苦労。ありがとうな」
黒づくめの男は一礼すると車の扉を閉めた。
「社長ぉ?」
ルフィがそう呼ばれた隣の男を見た。
「悪いな。びっくりしただろ? 急に」
「いったい……」
「あ、そうだったな。ほら」
ルフィが首を傾げると男が名刺を出して手渡した。それに書いてある文字を読む。
「?赤髪プロダクション社長……? ってなんだ?」
ルフィがそう言うと男がズルっ、と体制をずらしながら額に手を当てた。
「そうだなぁ、スカウト、っていえばわかるか?」
「スカウトぉ? スカウトって…スカートの一種か?」
ルフィの的外れな返答に男は呆れながらも笑って答えた。
「違うなぁ…。つまり、テレビや雑誌に出る気はないかってことだ」
「テレビぃ? うーん?」
腕を組んでうつむいたルフィが考え込むしぐさをした。男は後押しするように顔を覗きこんでこう言った。
「きっと君ならスターになれるぞ。どうだ、やってみないか?」
「うーん、そういうんなら……やってみるっ!」
ルフィはにこっと笑った。男はその笑顔に輝きを感じ、この子ならいける、と直感で確信したのだった。
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