Boy


□ONE DREAM!
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「あっ! おはよう、ウソップ!」
ルフィは自身の通う中等部の校門近くまで走ってくると親友で幼なじみを見つけて背中をたたいた。
「おう、ルフィ! おはよう。なんだ、お前また遅刻しそうになったのか?」
「しししし」
笑って額の汗をぬぐったルフィにウソップが腕を組んでしょうがねーなー、と笑って鞄からドリンクを出して渡した。ルフィはさんきゅーと言いながらキャップをひねり、のどの渇きを潤した。
脇でのどの渇きを潤したルフィにウソップは思いついたように尋ねた。
「そういえば昨日、晩餐会あったんだろ? お前行ったんだっけ」
ルフィはキャップを占めながら目を丸くして、唇を尖らせた。
「おう、そうなんだよー。でもおれ、つまんなかった。その場にいるだけだし、じいちゃんはずーっと難しい話ばっかしてるし。あ、でも、料理はすっげぇうまかったぞ!」
「へえー」
「あれ、そういえばウソップは? 行かなかったのか?」
ウソップははぁ? と腕を組んだままルフィを見やった。
「行くわけないだろー? いくらおれの親父が政界の幹部だからってそんなところに呼ばれねーよ。お前んとことは違うんだから。なんたって、お前は国技の宗家家元第48代目後継者候補、師範代モンキー.D.ルフィだもんな!」
ルフィはウソップにそう力説されて大きな目をぱちくりさせた。そう。彼は国技である武術の宗家家元の血筋で、昨晩のように晩餐会がある折には第47代目の祖父とともにしばしば呼ばれるのだ。晩餐会なんてルフィにしてみれば退屈なものだが、不参加というわけにもいかなかった。なぜなら、彼の継ぐ武術は最強の武術と称され、国防の為に用いられているため、政府重役たちのボディガードもやや兼ねながら国の象徴として参加しなければならなかったからだ。もちろん、祖父のガープの怒りを買うととんでもないことになる……という理由もあるのだが。
「ん、そっか」
「なんだよー、なんか不満でもあんのかー? ただでさえ政界の大物の二世や将来有望だと予言を受けて生まれた精鋭が集うこのグランド学院男子中等部の中で、お前ほどマスコミから見た目によらず虎のように強い、とか注目浴びている奴なんかいねェってのによ〜」
そっけなくそう返事したルフィはそう言うウソップとともに中等部の玄関に入り、自分の下駄箱を開けた時だった。手紙の山があふれ出して床に落ち、ルフィもウソップも目を丸くした。ルフィはその場にしゃがみ込み、その手紙を拾って一枚一枚裏に反し、差出人を確認した。ウソップはその様子を横から覗きながらこうつぶやいた。
「またかよ、ルフィ。ほんっとお前モテるよなぁ」
ルフィは黙って立ち上がるとその差出人たちを確認した。ルフィたちの通うグランド学院男子中等部は当然男しかいない。しかし、隣には女子中等部が併設されており、時々こうして女子部からの手紙がどこかしら経由でこうして下駄箱や机に入っていることがあるのだ。しかしルフィの場合問題なのは、手紙の差出人が女の子だけではなく、男からも来ることだった。内容は様々でファンレターから愛を告白するものまで、中等部三年のルフィには男女問わず同学年、または後輩たちからこうした手紙が絶えなかった。ウソップは、ルフィにそういった手紙が来るのは至極当然だと思っていた。彼は宗家家元の正統な後継者でもあるだけでなく、容姿はなかなかかわいらしい顔をしていて、女の子に間違えられてもおかしくはなかった。
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