Girl


□大嫌い、大好き。
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にぎやかだけどどこか情緒ある懐かしさが漂う街並みの一角、そこには銀行がある。
その裏は路地になっていて路地特有の湿ったうす暗い感じがする。
その路地に、どう見ても怖そうなガラの悪い男が立っている。
普通の子どもなら、そう簡単に近付きそうにはない顔つきだ。
男はスーツのズボンに素肌に直接白シャツを羽織り、ゆるくネクタイを結んでいた。
サングラスはしていないがどこかの組の頭なのではないか、と誰もがそんな印象を受けるような空気が彼の周りを取り巻いていた。
その割に彼は若くまだ20代前後で、ちょと怖いけれどもどこかのクラブにでも行けばたちまちモテモテであろうと推察するくらいには彼はかっこよかった。
「アニキィ!」
「あ?なんだジョニーとヨサクか」
ジョニーとヨサクと呼ばれた二人の男はそれぞれガラシャツを羽織りジョニーはサングラス掛け、ヨサクは半ズボンと言った特徴のあるいでたちをしていた。
「アニキ!車の用意が出来やした!」
「組に戻りやしょう!」
「ああ」
男はそう言うと近くに止めてある高級車に向かおうとした時だった。
どんっ、という音と「いたぁっ!」と言う声とドサッという音がして彼は誰かとぶつかった。
左下を見てみると、お尻をさすっている女の子がいた。
「いたたたた…」
彼女は黄色のミニスカートに赤のキャミソールを着たショートカットの黒い髪をしていて、彼を見上げた。
「ごめんなさいっ」
大きな目に桃色の頬。
キュートな唇がかわいかった。
美人というわけではないが、どこか不思議な魅力があって、男は女に興味がないはずなのにドキッとしてしまった。
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