Boy


□二年守
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『二年守』(z*l)

新聞の記事にアイツの姿があった。
敵地でトレードマークの麦わら帽子を胸に黙祷する姿。
そこからアイツのメッセージを読み取っておれは行動に出たわけだが。
傷を癒すことが先決と言われ、こうして再び横になっている。
何かと世話をやいてくれる傘の女がその新聞を捨てようとしたのでおれはその手を止めさせてその新聞は枕元に置いてある。
…二年後、か。
アイツと出会ってそう長い事いたわけじゃねェ。
でもまるで何年も一緒に居たみたいに、当たり前になりつつあった。
そして今、それが当り前じゃない事を再確認させられた。
そしてもう一つの気持ちも再確認する。
二年という時間とどこに居るかわからないあいつとの距離は限りなく遠い。
会ったらどうしようか、抱きしめたいとか、キスしてやりてェとかいろいろ考えるけど。
今はまだ、その時じゃない。
おれは目を閉じた。
窓から入り込む風が鼻先をかすめる。
昨日までは早く迎えに行かなきゃいけないと思った。
アイツはお姫様なんかじゃないけど、おれにとっては誰よりも大切なヤツ。
だから辛い時は側に居てやりたいと。
でも、おれがそう思うのも無駄なくらいにアイツはずっと強いから。
大丈夫、だと。
二年と言う時間が欲しいとそう言ったんだ。
「まだまだ、修行がたりねぇな…」
それでもおれは今会いたいと思うなんて情けねェ。
おれの方がアイツの事何倍も好きなんじゃねェか。
悔しいから二年後、またアイツに会うときにはおれの今の気持ちよりもアイツにおれを好きにならせてやる。
おれは枕もとの新聞を取るとかざしてあいつの姿を見た。
…それまで、この写真はお守りにしておくか。
写真の中のアイツが目を開いておれに微笑んだようなそんな気がした。


End


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一周年記念。しかしこんなに長く拍手に居座るとは…。
一度書きたかった二年後ネタでした!!

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