伝えたかったこの想い

□本当に必要だったのは
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散々泣いた俺が落ち着いてきた頃、俺に抱き締められるがままだったレッドが口を開いた。

「…それで全部?」

多分、これは言葉のままの意味ではない。
昔から、レッドの言葉は所々が欠けていて、聞いただけではそこに含む意味を正確には読み取れないのだ。

「何が、だよ」

「グリーンが、俺に言いたいこと」

そうやって言葉の影に隠された意味をちゃんと解るように探り出すは、俺の役目。
レッドは今どんな表情をしているのだろうと思い顔を上げれば、何かを探るような顔をしたレッドと目が合った。

確かに、まだ言ってないことが一つだけ残っている。
本当は一番言いたくて、でも、口に出すのはやっぱり怖い気持ち。

でも、今、レッドは俺のその言葉を待ってる。
目が合った瞬間、直感的にそう思った。

『それで全部?』の言葉に隠れた意味。
それは多分、『まだ俺は一番、欲しい言葉を貰ってない』だ。
そして、俺の自惚れでなければ今レッドが求めている言葉はきっと…。

『勝てなかった』
『見つけられなかった』
『だから、言う資格がない』

それは多分、自分への言い訳だったんだ。
それを伝える為に俺に足りなかったのは、資格じゃなくて覚悟。

俺はレッドの両肩に手を置き、正面から真っ直ぐレッドを見つめ、覚悟を決めて口を開いた。

「レッド。俺、は…お前のことが…好き、だ」

やっと言えたその告白は、緊張のあまり声も震え、ところどころつっかえ、正直かなり情けないものだったと思う。
だけどレッドは、珍しくその顔に笑みをうがべ、僅かに頬を赤く染めてながらこう言った。

「それ、俺が一番欲しかった言葉だ」

レッドが、俺の首に腕をまわす。

「俺も…グリーンのこと、好きだよ」

そして、どちらともなく目を閉じて俺達は唇を重ねた。



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