伝えたかったこの想い
□ずっと会いたかった
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「グリーン」
レッドが、俺の名前を呼ぶ。
「俺はずっと、お前に会いたかった。自分であんなとこ行って、ずっと帰らなくて…こんなこと言うのは勝手だって、解ってる」
そう言ってレッドは俺の肩口にポスンと頭を乗せた。
「でも、会いたかったんだ」
小さな声で、でもはっきりと発せられたその言葉に、俺は反射的にレッドを強く抱き締めていた。
レッドは一瞬体を固くしたが、やがておずおずと両手を俺の背に回してきた。
「…俺、お前のことずっと探してたんだぜ?」
「…ごめん」
「すげぇ心配だった。どっか俺の知らないとこでいつの間にか死んでんじゃないかって」
「…それ、ちょっと酷くない?」
俺は不満気な声を上げるレッド顔に手を添え上を向かせ、思いっきりデコピンを食らわした。
「痛っ!何!?」
「うるせぇ!どんだけ俺が寂しかったと思ってんだよ!本当ならお前が倒れるまでぶん殴ったって足りねぇんだこんぐらいで文句言うな!」
「えっ…?」
もうこの際だからと隠していた本音をぶちまけたら、レッドは信じられないものを見るような目で俺を見やがった。
まぁ、昔の自分の言動を省みればその反応も仕方ないといえば仕方ないのだが正直傷付いた。
しかし、今更引っ込みもつかないので今まで言えなかったことは全部言ってしまおうと思った。
「っだから!俺だってずっとお前に会いたかったんだよ!」
「いつもお前のことばっか気になって、せっかくジムリーダーになれたってのに仕事も手につかなかった」
「何やってても、気付いたらお前のこと考えてるし…」
言いながら段々嗚咽が混じって、最終的に俺はただ泣きながらレッドをギュウギュウ抱き締めた。
俺が泣いてることにレッドはとっくに気付いてるだろうけど、せめて泣いてる顔くらい隠したかった。