SS戦国BASARA

□死期
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血の雨が降る


戦は嫌い

人が死ぬのも嫌い


何で天下取りなんてしているのだろう




「総大将負傷!この戦、我らの勝利!!」

「(――…殿)」




天下を取ったとしても

それに抗う輩がいれば、またすぐに乱世はやってくる

皆が笑って暮らせる太平の世なんて存在しないのに



『殿、質問してもいいですか?』

『なんだ。』

『殿は天下を取ったらどうするつもりですか?』

『…くだらん。そんなもの、貴様にいくらでもくれてやる。』

『いや、忍びが天下取りって聞いたことないです。』




何のために人が死合わないといけないんだろう




「(負傷って、まさか…)殿は!?大将は何処!」

「柚木殿…」

「三成様は……っ、」




大切な人が消えていく




「殿!!」

「……………柚木、か。」

「殿!しっかりしてください!大丈夫です、すぐに手当てを!」

「………もう、よい、」

「……殿?」




戦なんて大嫌いだ




「目を開けてくださいよ、殿」


「まだ終わってませんよ」

「豊臣の名を世界に知らしめるんでしょう」


「起きてください」

「家康様の首私が撃ちとっちゃいますよ」



「殿(死なないで、)」


「との(まだ、)」


「みつなり、さま、(死ぬなんて許さない、)」




抱きかかえた体は冷たく

その顔は死すら感じさせないほど綺麗で



長い戦国の世の終わりを告げる法螺貝の音に




「三成様…っ」





私の心は死を迎えた





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