SS戦国BASARA
□仕方ないから生きてやる
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死ぬのが怖い。なんて考えたことも、感じたこともなかった。
死は皆に平等に訪れるもの。
この世に命を授かり産まれてきた者の、抗えぬ運命、踏み外せぬ道理。
自然の摂理、人間の摂理ってやつ。
どうせ死ぬのなら主の為に。
どうせ息絶えるのならダレカの為に。
私はそうやって、死を受け入れてきた。受け入れることができたのに。
「主のために死ぬ?Coolじゃねぇな。」
「貴様に私の何がわかる。」
「HA!テメェのことなんざ、理解したいとも思わねぇから、安心しな。ただ…」
目の前の竜は、不利な状況などもろともせず、私に刃を向けて、余裕の表情を浮かべる。
「本気で主の事を想うなら、生きろ。」
ああ、なんて在り来たりな台詞だろう。
この台詞は何度も聞かされた。
忍びになる前からも、聞かされていた言葉だ。
「ま、ここで俺も負ける気はないんでな。生きて帰れると思うなよ?」
もう聞きあきたはずの言葉なのに。
一体なにがどうしたのか。
あの男の言葉は、私の耳に留まり、離れようとはしない。
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