SS戦国BASARA

□許可をください
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ごめんなさい、



「何故、貴様が謝る必要がある。」



ごめんなさい、ごめんなさい。

貴方の傍で最期まで仕えると約束したのに、

貴方の傍で生きていくと約束したのに、

貴方を守ると約束したのに、



「…私を、裏切るのか。」



ごめんなさい、

約束を守れなくてごめんなさい、

裏切ってしまってごめんなさい、

苦しめてしまってごめんなさい、



「柚木、目を開けろ。聞こえないのか?柚木!」



最期に、許可をください。

私に我儘を言う許可をください。

私にこの気持ちを告げる許可をください。



「…目を、開けてくれ、柚木…っ」



ああ、三成様。


貴方の傍に居られて幸せでした。

理不尽な命令も、

強烈な日常も、

初めてのこの感情も、

全部、貴方が私に教えてくれました。


貴方の事を好きになれて幸せでした。

優しい言葉も、

不器用な指遣いも、

温かな体温も、

全部、貴方が私に与えてくれました。



「…と、の…」

「…柚木!」

「…三成、さま、」



どうか、

私の事を記憶から消し去ってください。

貴方を残して逝く私の事は忘れてください。


どうか、どうか、

もう、泣かないでください。


どうか、どうか、どうか、

ずっと、生きてください。



「逝くな…っ、逝くな、柚木!ずっと私の傍にいろ…いると言え!」

「…、」

「これは命令だ!ずっと私の傍に居ろ!私から…離れるな!」



ああ、神様、仏様、閻魔様

もしも最期に願いが叶うのなら



「…っ、と、の…」



どんな姿になっても構いません

どんな形でも構いません

私はずっと、

私をずっと、



「言った、でしょ、う…?わ、たし…ずっ…と、」



彼の、傍にいる、許可をください




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