SS戦国BASARA

□下世話な話
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突然ですが、

偶には、そう、偶には

俺だって“上”という立場に立ってみたい。

とか、思う。

だって男だし?

俺、あいつより年上だし?


だから今日は、お酒という力を借りて
ちょっと…押し倒してみよう、と思う。



【下世話な話】



缶ビールを何本開けたころだろうか?

俺はふと、考えた。

三成と付き合いだして早三年。
下世話な話、もうヤる事はヤり尽くした。
そう、ヤり尽くした…裏を返せば、ヤられまくったのだ。


――どうして俺はいつも女役なのだろう?


身長?
…確かに小さいが、それは三成が大きいだけであって、平均よりはある。

顔?
…確かに童顔だが、それが理由で押し倒されるとか、理不尽すぎる。



「なあ、」

「何だ?」



俺だって、武道は習っていたし
押し倒そうと思えば、いつだって三成を押し倒せる。

…後が怖いから、やらないが…

今だって、ソファーで寝転びながら本を読んでいる三成の上に乗っかって
服を剥いで、ズボンを下ろして、問答無用に身体をまさぐることなんて
…容易いのだ。本来なら。

ふわふわと、
酒がまわったらしい…覚束ない足取りで、三成の元へと向かう。



「…何なんだ?」

「んー…なんとなく。」



全体重をかけて三成の上にまたがる。



「どけ。重いぞ、オッサン。」

「おっさん言うな。まだギリ、ヤングだ。」



そう、こうやって三成の上に乗っかって…

少し戸惑った様な顔の三成。
気のせいか、少し頬が赤い気がして、俺の心の奥底が燻る。

そう、こうやって俺は彼で欲情できるのだ。
それに、俺だって三成のあんな姿やこんな姿、見てみたい。
もっと言えば、下世話な話、俺の下で喘いでほしい。

ペロリ、と唇を舐めると、三成は小さく声をあげた。



「ん、うまい。」

「…っやめ…!酒臭いぞ、柚木!」

「いーだろー…いっつもベロチューしてるくせにー…」



そう、そうやって頬を染めて
ちょっと嫌がる素振りをしてくれると、すごく萌える。
あ、間違えた…燃える。

焦って本を下に落とした三成の腹の上でしっかり足を固定し、俺はボタンに手をかける。

何度も見て見飽きたと思っていたが…
シャツの下に露になる白い肌にごくり、と咽喉が鳴った。



「柚木…?おい、柚木…!?」

「んぅー」



鎖骨あたりに噛みつき、赤い痕を残す。

…やばいな、これ。
三成はいつもこんな思いをして、俺の鎖骨を噛んでいたのだろうか。

白い肌に際立つそれは、俺の欲を掻き立て、息を荒げた。
どんどん、欲情している自分がいる…



「三成…あのさ…」

「一体どうしたと言うんだ…いいから、早く退け、酔っ払い。」



そうだ、今日は、今日だけは



「ヤらせろ。」

「は?」

「…ヤらせてください。」



三成の目がジロリと俺をにらむ。



「だって、いっつもお前ばっかずるいんだよ。俺だってたまにはなあ…」



偶には、三成を可愛がりたい。



「うぐ…!」

「気色の悪い事を言うな!」



そう言うと、三成におもいっきり腹を殴られた。

だって、男だったらそう言うものじゃないのか?
好きな子に突っ込んで、アンアン言わせてみたいじゃないか。
醜い男の願望じゃないか。

…三成がアンアンいう姿なんて…



「(悪く、ない…)」



想像はつかないが、妄想ならできた。
うん、悪くない。

やっぱ、このまま俺の息子が
機能せず死んでいく、のはちょっと悲しいし…



「だってさあ、お前ばっか上乗って、俺いっつも女役じゃん?俺だって男なんだし…」

「今更何を言い出すかと思えば…」

「うるせ!」



だから、酒の勢いを借りて押し倒そうと思ったのだ。
…いや、酒の力を借りなくても、何時も欲情してるし、普段から押し倒したかったけど。

こうやって、三成に欲情して、三成の色々な姿を見たい、と思った。

固まった三成の指先を齧り、そのまま下を這わせる。



「…っ、やめんか、貴様!」

「嫌じゃないくせに。」

「…、柚木、いい加減にしろ。」

「やめない。つーか、俺の事好きなら、押し倒させろ。」

「理不尽なご託を並べるな。」

「んだよ、俺は、お前を好きだから…っ!」



ムラムラするこの気持ち。
ソファーに座った三成の胸元に目が行く。

――…やべぇ、すげぇ可愛い…

俺の視線に気づいた三成は肌蹴た胸元を直して、俺の肩に手を置いた。
そのまま押し倒され、ソファーに背中をくっつける。



「貴様は、私が可愛がってやる。」

「ぅん!?」



ぐい、と引き寄せられ、いつもの様に唇を塞がれた。



「貴様が私を押し倒すなど、100年早い。」

「でも…」

「黙ってろ。貴様は、こっちの方が好きだろう?」

「う…で、でも、今日は上になりたい気分、なん、だけど…」



下世話な話。
俺、もう女役じゃないと…息子が機能しない、かもしれません。

三成にこうやって押し倒されて
欲情した目で見られる方が、身体の奥底が疼きました。


――…俺ってMだったのかな…


ただ単に絆されていつも押し倒されていたのだ、と思っていたが



「なあ、」

「何だ。」

「俺の事好き?」



ニィ、と笑った三成。



「今日は貴様が上に乗れ。」

「へ!?」



ぐい、と身体を持ち上げられ、三成の膝の上に座らせられる。

下半身にダイレクトに存在感を植え付けるそれに
俺は間違えて、とんでもないことを言ってしまったのだ、と



「ちょ、意味がちが、」

「うるさい。黙れ。」



気付いた時には、もうすでに遅かった…





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