小説2

□*幼なじみor恋人?
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バタンッ!


「のぞみ!!!」
「え?」



自分が呼ばれたのかと思ったが違った。

呼ばれたのは堂上さん。



目を向ければ・・・・・


倒れている彼女。


「ど、どうしたの!?」
「何か相手の子達の足に引っ掛かったみたい。足押さえてるから捻挫でもしたんじゃ・・・・・・・・」
「なら、私保健委員だから保健室連れていかなきゃ」

立ち上がったその時、



『のぞみ!!!』


え・・・・・・・・・・・・・?


彼が・・・手塚君が私の名前を・・・呼んだ・・・・・・・・・・・?


・・・・違う。
彼が呼んだのは『望美』ではなく『望』の方。


気づけば彼は堂上さんのところにいた。



『望大丈夫か?』
『大丈夫。これぐらい何ともないって』
彼女は笑って立ち上がろうとするが・・・・・・
すぐ座りこんでしまう。
『無理すんなって。痛いなら痛いって素直に言え。ほら、保健室行くぞ』
そう言って手塚君は堂上さんをおんぶする。
『ちょっ!陽一!何でおんぶなのよ!!!』
『お前歩けないだろうが!それとも何か?ずべこべ言ってると姫抱っこにすんぞ!』
『いやだ!これで良い!!!』二人は騒ぐ。



「あ、あの!」
「ん?萩原、どうしたんだ?」「わ、私保健委員だからついてくよ」
「あぁ。頼む。――先生!俺突き指したんで望と萩原と保健室行ってきます」


私達三人は体育館を出、保健室に行く。




「・・・何で保健医が居ないんだよ・・・」

保健室には“外出中”のプレートが。



「仕方ねーや。俺がやるか。萩原、ドア開けてくれない?」
「あ、うん」


ドアを開けると手塚君は堂上さんをベッドに下ろす。

私は湿布と包帯を彼に渡した。



「望、大丈夫と言いながら足首腫れてるぞ・・・・」
「あちゃー本当だ・・・・これじゃ今日部活できないかぁ・・・・・・」
「当たり前だアホ!こんな状態で走ってみろ!今度の大会出場出来なくなるぞ!―――――あ、萩原湿布貸して」
「はい」

渡す時に少し手が当たる。それと同時にドキドキする。


「ほら足貸せ。湿布貼るから」
「は〜い・・・・・冷た!」
「・・・・・」


なんか堂上さんが羨ましい。手塚君に湿布貼って貰えるなんて。


「堂上さん大丈夫?」
「うん!今日1日じっとしてればすぐ治るよ!」
「そっか、よかった」
「ま、“じっと”出来ればの話だけどな」
「え?」

手塚君が呆れたような声をだしたので、びっくりする。
初めて聞いた。


「今までの出来事でお前がじっとしてた例しがないからな」
「んな!萩原さんがいる前で恥ずかしい話しないでよ!?」
「今更弁解しても遅いだろ。もうお前の性格皆にばれてるんだから。“猪突猛進、考えなしの無鉄砲バカ”って。だろ?萩原」
「え?!・・・う、うん・・・・」

いきなり話を振られてびっくりした・・・・・・。

「ほらみろ」
「う〜〜〜〜陽一のバカ」
「お前にバカと言われる筋合いはないな。この前お前の失敗作のクッキーを食べてやった奴はどこの誰だ?夏休みの宿題を手伝ってやったのは?一緒に買い物について行ってやったのは?」「・・・・・わかったわよ・・・・・ねぇ萩原さん、陽一に言ってやってよ。女の子には優しくしろって!」
「萩原気にすんな。どこが女の子だ。男の間違えだろ」 
「むっきぃ――――!!」


もう堂上さんは自暴自棄だ。手塚君を見れば・・・・・

え・・・
笑ってる・・・・・

しかも、


見たことない、優しい微笑み・・・・・

まるで愛しいものを見るような・・・・・


あぁ、そうか。
手塚君は堂上さんが好きなんだ・・・・・。
さっき突き指したから一緒に保健室に行くと言ってたけど、突き指してるようには見えない。

多分彼女が心配でついてきたんだ。
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