アンソロジー第2弾

□その唇で僕の名を
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「佐伯、翠」

「はい」


先生が私の名前を丁寧に発音する。

先生の声が、私の名前を呼ぶだけで、身震いしそうになるほど嬉しかった。

震えそうになった声を、大きく出すことで誤魔化して、私は一歩、足を踏み出した。


…これが最後なのだ。

先生が私のフルネームを呼ぶのは、これが2回目で、…そして、最後。


何故なら私は、今日3年間を過ごしたこの学校を卒業するから。



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