アンソロジー第2弾
□その唇で僕の名を
1ページ/50ページ
「佐伯、翠」
「はい」
先生が私の名前を丁寧に発音する。
先生の声が、私の名前を呼ぶだけで、身震いしそうになるほど嬉しかった。
震えそうになった声を、大きく出すことで誤魔化して、私は一歩、足を踏み出した。
…これが最後なのだ。
先生が私のフルネームを呼ぶのは、これが2回目で、…そして、最後。
何故なら私は、今日3年間を過ごしたこの学校を卒業するから。
→
次へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ