ポケスペ

□私が
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私が好きって言ったら、貴方は困るでしょう?

歌うかのように節をつけて。
まるで何かの台詞のように。

ゴールドは、ぽつり、と呟いた。


「突然、何を…」

「あー。もういいから。分かってるから」


だから何を。
訊けばゴールドは悲しげに笑う。


「無理、しなくていいから」

「何か無理してるのか?」

「オレじゃなくてお前だよ」


私が好きって言ったら、貴方は困るでしょう?

ゴールドが再度つぶやく。
歌うように台詞のように。


「なーんかもう分かんねーんだよなー」

「だから、何が」

「えー?シルバーのココロ?」


わざとらしく、おどけて見せて。
睨もうとすれば、逃げるように寝がえりをうって、クッションに顔を沈めた。

ソファは座るものだといっても、ゴールドはそこに寝転がるのを止めず。
仕方なく、オレは地べたに座ってソファのひじ掛けを背もたれにするのだ。

いつもと同じ、変わらない位置。

ゴールドが勝手に持ってきたクッションの、炎のような赤さが目に痛い。


「ゴールド、」

「なんでもねぇって」


突っ撥ねた声はくぐもっていたが、それでもその声が湿っている事は分かった。
溜息をつく。
こういう時にどうすればいいか、なんて、これっぽっちも知りやしない。


「・・・試してみるか?」

「…は?何を?」

「さっきから言ってる、それ」


首をわずかに捻る。金色の目が、赤の隙間からのぞく。


「・・・困るっしょ?どうせ」

「さあ。どうだろう」

「ちゃんと答えろよ」

「試せばいいだろう」

「・・・お前ホント性格悪い」


不貞腐れたように呟いて。
金色の目が閉じて、開く。



「・・・シルバーが、好き」



「・・・誰が困るか、馬鹿」



抱き締めればゴールドは笑った。
悲しそうではなく、楽しそうに。

多分。





冒頭の台詞は突然ぴこん!と頭に出てきたものです。結構前に。テストとかの所為で結局今更完成しました。むーん…。
皆様お分かりの通り、今回は字数とかを遊んでみました。まぐれでなったりすると嬉しくてね、止まらなくなりましたww
 なんだかんだでハッピーエンドです。まぁ狼のかくもんなんだから仕方が無い。

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