ポケスペ

□低くて甘い
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「アレ?先輩達何してるんスか?」

「あ、ゴーいい所に!!」


オーキド博士の所に久しぶりに顔を出したら、レッド先輩とブルー先輩がいた。


「なぁ、ゴーってブルーの変装知ってるっけ?」

「あ、話くらいは」

「実はブルー声真似も上手いんだよ!」

「へー!やって下さいよ!」

「あら、無料で見せるようなもんじゃないのよ?」

「さっきまでやってくせにー」

「…なんか先輩ってオレに厳しくないスか…?」

「気のせいよ」


やってもらえない、といわれるとやって欲しくなるものだ。
後輩らしく甘えてみる。


「先ぱーい、お願いしますよー」

「駄・目。甘えたって無駄よ」

「うぅ、意地悪!!」

「じゃあ、アンタはアタシに誰やって欲しいの?それによっては考えてあげる」

「え?・・・じゃあ、オーキド博士」

「年齢を考えなさい、年齢を!」

「あ、オレはゴーがいい!」

「え、オレもできるんスか!?」

「あたしを誰だと思ってるのよ。んー、じゃ小手調べに」


こほん、と咳払いをひとつ。


「よくあるこった、気にすんな!」

「おえあっ!!?」

「おー!すごーい!!」

「まじっスか?」

「うわ止めて下さいよ変な感じがする!」

「ふふ、これでアタシの実力が分かったでしょう?」


さぁ、誰にする?と先輩が笑う。
さぁ、どうしよう。

声、といって一番最初に思い浮かべるのはシルバーだ。

オレよりも少し(本当に少し!)声が低くて、一言で言うのならば甘い。

本人は無自覚なんだろうが、あの声を耳元で囁くのは反則だ。
どうせ囁くのなら、好きだとか愛してるだとか言って欲しいものだか、あの性格上刃物でも持ち出さないと無理だ。
でも、いつか、一度くらいは言ってみてもらいたい。

そんな思いが頭をよぎったのは否めない。


「んー…、じゃあ、シルバーで」

「あらいいの?いつも聞けるじゃない」

「き、聞けませんし聞きたくもありません!!」

「あはは素直じゃないなー」

「オレはこれ以上に無いくらい素直です!!」


先輩の所為で、事故というか、たまたま耳元できいた声を思い出す。

いや違うってばシタゴコロ的な物は無いから!!
ただ先輩の声真似がいか程か聞くだけだから!!
だから治まれ顔の火照り!!


「よし、じゃあやってあげるからちょっとこっち来なさい」

「え、何でですか」

「あの子の声はあんまり音量でないのよ」


ちょいちょい、と手招きされてそのまま先輩の近くへ寄る。
こほん、と咳払いをして先輩がオレの顔、もっと正確に言うならば耳に、顔を近づける。

シルバーに見られたらすっげえ怒られそうだ。
違いますよー声聞くだけですよー。

構えていなかった所に、不意打ち状態で先輩がオレの耳に囁く。



「愛してる」

「っっっ!!!!???!?」



心臓が跳ねた。
まじで口から出てくる!!ってか出す!!

だってだってこのタイミングで!!
シルバーの、オレの大好きな声のまんまで!!
ずっと言って欲しかった台詞を・・・!!


「あははゴールド顔真っ赤ー」

「せせせせせ先輩っ!!何するんスかっっ!!!」

「えーなになに?何したのブルー?」

「あのね、」

「うわああああぁぁぁああっっ!!!?」

「あーうるさいわねー言わないから落ち着きなさい」

「だってだってだって!!!」

「あははゴー顔真っ赤ー」

「見ないで下さい!!」

「ほんの出来心だったんだけど…。まさかこんな効果があるとは」

「何笑ってるんスかっ!!」


にやっと笑ったブルー先輩にすかさず突っ込む。
レッド先輩が不満気に言う。


「本当に何したのブルー?」

「先輩何詮索してるんスかっ!!もういいじゃないスかこの話っていうかこのくだりは!!」


怒鳴っているうちに、何とか落ち着いてきた。
大きく息を吸いこんで呼吸を整える。


と、不意に、

耳にあの声が蘇る。


大好きな声と、
ずっと言って欲しかった言葉。


「あぁああぁぁあっもう!!!」



いい加減治まれ顔の火照り!!




以下、おまけ



「もしもし、シルバー?」

「何?姉さん」

「あんたゴールドに愛してるって言って無いのね」

「っ!!!?」

「たまには言ってあげなさいよ。耳元で。そしたら面白いの見られるから」

「・・・?」

「電話とかじゃなくて直接、言うのよ。ん、じゃ、用件はそんだけだから」

「あ、」

「じゃねー」


一方的に掛ってきた電話は、一方的に切れた。





低くて甘い声、に憧れています。いいですよね。欲しいです、又は、言われてるところをみたいです←
シルバーが絶対に言わなそうな事を姉さんに言わせよう!という目論見から出来ました。
シルバーは愛してるとかあんまり言わなさそうですけどたまに言う所がキュンときてしまうというかレア度が高(強制終了)

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