ポケスペ

□雨宿り
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雨は嫌いだ。
服も濡れるし洗濯物も干せないし、確かに野菜とかは育つんだろうけど、過ごしにくいから嫌いだ。

一番嫌いなのは、一日中ずっと降っているような霧雨だ。
ぱっと見降ってないっていうフェイントが嫌だ。どうせ降るなら景気良く降ればいいと思う。

二番目に嫌いなのは、今だ。



(何で、こうなるかなぁ…)



デートだ。
それも久しぶりの。

前回は先輩達に会ってみんなで遊んじゃったし、前々回は博士のお使いでそれどころじゃなくなった。

今回に至っては、今までの快晴はどこへやら、突然の雨だ。
しかも、どしゃ降り。まさに「バケツを引っ繰り返したような」。


(・・・もしかして、呪われてる?)


もしかしなくても呪われてるってこれ!

「フツー」に二人で遊びに行けないってどういうことだ。
最初は「フツー」だったけど!いやでも突然どしゃ降りになるなんて「フツー」じゃない!


「ゴールド」

「うあぁっ!!?」

「・・・何でそんなに驚く」


デートするたびに何かあるので呪われてるのかもしれないと考えていました。
なんて言える訳もなく。

だって、そんなこと言ったらまるで、まるで自分がデートを楽しみにしているようで。


「寒くないか?」

「ん…、ちょっと」

「どしゃ降りになるまで気づかないからだ」


シルバーが小さめの、隅っこに小さく名前が縫ってあるハンドタオルを出した。
それで、オレの顔を拭う。
ちょっと痛いけど拭いてもらってる身なので贅沢は言えない。


「だって朝はすっげえ晴れてたじゃん」

「歩いてる時はすでに曇ってた」

「え、うそだ!」


曇ってた、ともう一度言ってシルバーがオレにタオルを押しつけた。
自分でやるのも面倒くさいのでそのまま使わずにお返しする。
するとシルバーはあからさまに嫌そうな顔をした。


「風邪ひくぞ」

「へーキだって」

「夏風邪は馬鹿もひくそうだ」

「あーあー。いらない豆知識をありがとう!」

「・・・まったく・・・」


シルバーが溜息をついて、オレの手をつかんだ。
吃驚して体がはねたが、幸いな事に気づいて無いらしい。


「ゴールド、手、冷たい」


いつもはひんやりと冷たいシルバーの手が、今日に限っては温かい。
多分、それだけオレの手が冷たいんだろう。

指を絡めればもっと温かで。
ちなみに、絡めてくるのはあくまでオレではなくてシルバーだ。
そこは声を大にして主張しておきたい!

などとふざけてみても、手の感触が紛れる訳もなく。
顔が熱くなって緩んできて、慌てて足に目を落とす。
そうっとシルバーの顔を見上げれば、素知らぬ顔で銀色の目で空を見つめていて。

しようと思えばできるのだけれど、絡めた指は離したくなくて。
自分から握れば、分かってたようにシルバーが返してきて。

それが余計にムカついて。


でもそれとは裏腹に、顔の緩みはおさまらない。

こんな顔見られたらシルバーになんて言われるか。
いや、何も言わずに勝ったように笑うかもしれない。うわ、それもかなりムカつく。


(せめて、)


せめて、顔の緩みが操作できるようになるまでだけで良いから、



(もうちょっとだけ降ってろ雨…!)





久しぶりです!が、それに関わらず相変わらずの砂糖にグラニュー糖です!!
いいんだ、これが私の好きな物だもの。同士が居なくてもいいもの!…あれ、目からみずでっぽうが。

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