ポケスペ

□あまえる
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誰かに甘えたい時ってあると思う。


別に甘えられれば誰でもいい。
親でも兄弟でも姉妹でも友達でも先輩でも後輩でも先生でも博士でも…、とにかく誰だって。

オレの場合はそれが恋人だっただけだ。





「シルバァ」


何度目だろう。
名前を呼ぶ。

相変わらずシルバーは無視。
視線は本に釘付け。
銀の目が上へ下へと動く。そんな速く動いて読めてるんだろうか。


「シルバー!」


はぁ、と大袈裟に溜息をつく。
おお初めての反応。

顔は上げないが。


「何だ、さっきから」

「べっつにー」

「別にって…」

「名前呼んでるだけー」


また、大袈裟な溜息。

シルバーがこちらをむく。
赤い髪がそれにつられて動く。


「構って欲しいならそう言えば良いだろう」

「はっ!?」


え、何こればれてたっていう?

・・・・・・恥ずかしすぎるだろオレ!


「まさかとは思うが、気づかれて無いと思ってたのか?」

「う゛っ」


おいうち!!シルバーさんそれおいうちです!!

刺された心臓を押さえて悶えてるオレを無視してシルバーが言う。


「して欲しい事があるなら言えばいいだろう?」

「っ、それが出来ないからこうしてまわりくどくやってんじゃねーかよ!」

「・・・開き直ったな」

「うっせ!」


シルバーがにやりと笑う。
獲物を見つけた猫のようだ。


「素直に言ったら聞いてやらない事もないが?」

「す、素直とか!」

「言わないならそれはそれで別にいいが」

「・・・・・・っ」


意地悪!!内心大声で叫ぶ。

ですが体は正直な物で。


「・・・・・・・・・・・・・・ち、ちゅう、して、ほ、しい」

「…了解」


言った途端、ぐいっと抱き寄せられた。
自分で言っときながら軽くパニック。

シルバーの顔が近付くのが分かって、ぎゅ、と目を閉じる。

柔らかく触れた感触は、唇ではなく。

吃驚して奇声をあげる。


「ほ、ほっぺ!?」

「場所の指定は無かったからな」


シルバーがまた意地悪く笑うのを見てオレは確信した。


コイツ分かってて楽しんでやがる!!


腹立だしいことこの上がないが、やっぱり体は正直な物で。


「…に…て」

「聞こえない」

「…にして」

「もう一回」

「口にしてって言ってんだろうがこのバカ!!」


そこで怒るな、と呆れ口調で言いながらシルバーが優しくオレに口付ける。

せめて、赤い顔は見られないようにと、オレはシルバーの胸に顔をうずめた。



頭を撫でる手を払い除けながら、とりあえず当初の目的は果たした!と前向きに考えてみることにした。






甘いのかこう!とか思ってたらかなりあまあまになった。まさに砂糖にグラニュー糖!!
こうやってかくとゴーの失言具合が狼のそれとそっくりです…。

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