ポケスペ

□タマゴ1
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ドアを開ける、と同時に毛糸玉が飛んできた。


「!?」


足にかなりの勢いで激突され、姿勢を崩される。
たまらず床に手をつくと、一対の目と目があった。


「・・・メリープ・・・?」


どうやら毛糸玉ではなくメリープだったらしい。
何故か得意そうな顔で毛糸玉がメェ〜とないた。

どうすればいいか、と思っていると、


「っこらぁぁ!!待ちなさい!!」


どたどたと派手なな音とともにクリス登場。
ついていけないオレとメェ〜!!という悲鳴を無視して無事捕獲に成功。

捕獲時に見せる恐い顔でクリスが吐き捨てる。


「っんとに言う事きかないんだから!」

「お前のじゃないのか?」

「違うわよ。さっきゴールドが孵したの」


つい昨日まであたためてたタマゴはこれか。
捕獲されたことが不満で仕方ないらしい、毛糸玉がじたばたと暴れる。
それを力で抑えつつ、クリスがきく。


「そういえば、シルバーどうしたの?」

「いや・・・、ゴールドに用があって」

「あぁ、ゴールドならさっきこの子のご飯買いにいったわよ」


しまった入れ違ったか。


「あ、でももうすぐ帰ってくると思うわ。そこのフレンドリィショップだし」

「メェーーーー!!」


突然毛糸玉が叫んだ。
騒々しさに思わず耳を塞ぐ。

クリスがはぁっと重々しく溜息をつく。


「さっきからこんなんなのよ。全く、孵し主の人格を疑うわ」


その通りなので思わず笑ってしまう。
それにつられてクリスも笑う。

と、力が抜けたのをいいことに、毛糸玉がするりとクリスの腕から抜けた。


「あ!こらダメでしょ!!」


真っ直ぐ全力疾走してくる毛糸玉を思わずよける。
多分、受け止めるべきなのだろうけど。


玄関のドアの少し前で毛糸玉が飛んだ。

と、同時にドアが開いた。
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