ポケスペ

□ヤキモチ
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不機嫌、である。

オレ、ではない。
不機嫌オーラ全開なのは、目の前にいるゴールドだ。

理由を聞こうとすると「理由?自分で考えろ!!」と怒られた。
…自分で考えて分からないから聞いてるんだろうが。

そもそも、コイツは感情の起伏が恐ろしいほど激しく、こちらからすれば意味不明な理由で怒り出したりすることだってあるのだから今回だってそうかもしれないだろう、と言いかけたが流石に胸の内に留めて置いた。
そこまで「ヒトノココロノキビ」が分からないわけではない。

とにかく、今更コイツの欠点をあげたって仕方がないので記憶を遡ってみる事にする。

確か、朝の時点でコイツの機嫌は悪かった。と、なると何かあったのは昨日…。

 カチ、と頭の片隅で何か引っかかった。

昨日何かあった気がする。何かまでは思い出せない。

でも昨日はゴールド曰く「フツー」の日だった、筈だ。
たしかコイツはゲームをしていて、オレは本を読んでい、

「あ」

思い出した。

昨日は、グリーン…先輩に借りた本を読んでいて、それを話した時からゴールドの様子がおかしくなった、気がする。

思わず、吹き出してしまう。

「お前そんな事気にしてたのか」

「そんな事ってなぁ!!」

俯いていたゴールドが勢いよく顔を上げる。

 その、金の瞳が、潤んでいた。

勢いで顔をあげたもののどうすればいいのか分からなかったらしい。
結局何も言わずに再び俯く。

オレは多分、目をまん丸に見開いていただろう。

何で、そんな、、顔をして、、、



不安、だったのか。

唐突に理解した。
よく考えれば分かることだ。



拒否、されれば。

それが「好きな人」だったら尚更。

傷つく。
それは、きっと、消えてしまいたほどに。



オレは、やっぱりまだ、「ヒトノココロノキビ」が分かってない。



俯いたままのゴールドを抱きしめる。
抵抗するのを無視して抱きしめる。
痛い、と思うほどに、きつく。

「・・・ごめん」

「謝るな」

鋭いけれど揺れているその声に、かける言葉も見つからず。

ただ抱きしめることしかできなかった。




シリアス目指して見事に玉砕。何だこの中途半端は。

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