ポケスペ
□遅い夜
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眠い。
まぶたが重い。気を抜くとついつい目を閉じてしまう。
気を抜かなきゃいいだけなのだろーが、それが出来れば苦労はしない。
眠い。
言ったってしょーがないんだが。言ってしまうのが人のサガとも言うべきか。
声に出すと奴がうるさいのでせめて声に出さず…とか思ってたら、口が滑った。
「眠い」
「寝ればいいだろう」
案の定、あっさり言われた。
読んでいる本から目もあげず。
本当に「ヒトのココロのキビ」が分からない奴だ。オレも分かってるわけじゃないけど。
頭にきたので、本を読んでいる奴の後頭部めがけて言う。
「シルバーが起きてるなら起きてる!」
…状況を説明しよう。
まず、奴はオレに背を向ける格好で本を読んでいた。
オレはそっちを頭に、ベッドに寝転がっていた訳だ。
本を読んでいる奴は振り向かないだろうとは思うが…もし、オレが奴の後頭部を睨んでいて、奴が振り返るとどうなるか。
当然、キレイに目が合うわけである。
そしてその仮説は無事証明された。
振り向いた奴の目と、後頭部を睨んでいたオレの目が、キレイに合ったのである。
オレは思わず、うっと詰まった。
見られないことを前提に睨んでいたから当然のことだ。
睨んでいたのを怒るかと思ったのだが、奴はその事には触れずに言った。
「あんまり寝かせたくなくなるようなことを言うな」
「・・・・・・・・・は?」
それには答えず奴はオレの頭に手をのせた。重さが妙に心地いい。
さっていたはずの眠気に再び襲われて。
まぶたが重い。気づくと闇が迫ってきて。
闇にのまれる寸前に。
「おやすみ」
小さく聞こえたシルバーの声は、とても優しかった。
ゴー語りは楽しいですね。この二人は結構夜更かしさんだと思われます。