頂捧他
□蓮様へ
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「うわ!!」
一面に広がる桜色。
声さえあげなかったものの感嘆の吐息をもらしたシルバーの横顔を見ていると、
それに気づいたらしくシルバーは不機嫌そうな顔でこちらに顔を向けた。
「・・・なんだ」
「べっつにー」
軽い口調ではぐらかすと、シルバーは不本意そうに黙った。
こんな顔してもらえるなら連れ出してよかったな、とは口に出さずに思う。
***
「花見に行こう!」
「・・・いきなりなんだ」
一応反応はしたものの、シルバーは相変わらず本から顔をあげない。
・・・負けるもんか!
「いま満開なんだって!天気もいいし!」
「それが?」
素っ気なく返され、くじけそうになる。
・・・負けるもんか!
「すぐそこだから行かね?」
「行くなら一人で行ってこい」
地雷踏みやがったコイツ!
さすがのオレ様でも許さん!!
シルバーの襟首をがしっ、とつかむ。
「行くぞ!!」
実力行使。
シルバーをほとんど引きずりながら、桜並木まで連れて来たのである。
***
「シルバー!」
名前を呼ばれて顔をあげれば、いつの間にか距離が開いていた。
桜並木の桜はゴールドが言ったようにどれも満開で、その様子は道というよりトンネルに近い。
咲きほこった桜は、頭上はおろか地面までも桜色に染め上げていた。
散った花びらが地面を覆っているのだ。
時折ふく柔らかい春風に花びらが舞っていると、空気まで桜色に染まっていくようで。
この世界全てが染め上げられていくような感覚を覚える。
「シルバー!」
「なんだ・・・あ」
「え、なに?」
近いからいい、と言って帽子をかぶらなかったゴールドの髪に花びらがついていた。
黒い髪についた桜色はなかなかきれいにも思える。
手を伸ばすと、驚いたようでゴールドは一瞬身構えた。
花びらを髪からとって見せながら言う。
「ついてた」
「あぁ、サンキュ」
「そんな前髪してるからだろう」
「うわ赤毛にだけは言われたくねー!!」
からかえば、ゴールドもそれに気づいたようで笑いながら返してくる。
「で?さっき何で呼んでたんだ?」
「あ!そうそう、さっき向こうで屋台見つけたんだよ」
「・・・花見はどこいった」
「花見は食べてなんぼだろ!」
「・・・花より団子」
「うっせ!」
行こう、とさっさと歩きだそうとしたゴールドの手を掴む。
驚いて金の目を丸くして、振り返る。
その頭をぺち、と叩いて。
「勝手に行くな」
形勢逆転。
ゴールドの手を引くと、お返し代わりにさっさと歩きだす。
ちょっと間を置いてから、ゴールドが横に並ぶ。
手は繋いだままで。
「シルバー、顔赤いっスよ?」
「お前もな」
否定しねーのかよ、とゴールドが笑う。
制止も兼ねて手を強く握れば、ゴールドも握り返してきて。
強く握れば握り返してくる、その強さが愛おしかった。
蓮様からの相互リクで、ほのぼのな銀金です。
あとがき(のようなもの)↓
ほのぼのの意味を履き違えてるとしか思えんです、ハイ。
ほのぼのとベタアマは意味違うんだぞ☆(落ち着け)
書き直し・苦情どしどし受け付けます!!
お持ち帰りは、本人様のみでお願いいたします。