頂捧他

□羽宮様へ
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ここはオレの家。

目の前で満面の笑みを浮かべつつケーキをぱくついているのは、オレの後輩兼弟子兼彼女のゴーだ。
まるまる1ホールのケーキを八等分したものを、ゴーはすでに一個食べ終えている。

「よくそんな食べられるなぁ…」

呆れ半分感心半分で言うと、ゴーはこちらには目もくれず。

「フツーっスよ」

最後の一かけを口に運ぶ。
口に生クリームがついたまんまだ。狙ってんのか。

「あの、先輩」

「なに?」

「もう一個、いいですか?」

「え、まだ食べんの!?」

「あと二個は余裕です!!」

勢いよく言いきったゴーに思わず笑う。

「食べられるならどうぞ」

「やった!」

嬉しそうに皿にケーキをとりわける。
尻尾がついてたら、きっとぶんぶん振ってるんだろう。

と、ゴーがケーキにのっていた苺を放ばりつつ言う。

「そういやどうしたんスかコレ?先輩甘いもの好きじゃないですよね?」

さりげなく好み覚えているところがまた何とも…、いや何でも無い。

「実はコレ貰ったんだよ」

「え?誰にですか?」

ちょっと意地悪心が目覚めた。

「オレと同い年くらいの女の子」

ぴた、とゴーが硬直した。

慌てて取り繕うとケーキを食べ始めたが、手元がぎこちない。
尻尾がついてたら、だらんと垂れ下がってるんだろう。

分かりやすいゴーが可愛くて仕方がない。
あんまり引っ張ると可哀そうなので早々にネタばらし。

「言っとくけどちゃんと断ったからね?」

「へ!?」

「もう彼女がいるのでって丁重にお断りさせていただきました」

「え…、でも…」

「なんかその子はケーキ食べてもらえればよかったらしくて。彼女いるならその人と食べて下さいって」

「………」

「だから安心して食べて?」

笑いかけるとゴーはフォークをくわえたまま、こくんと頷いた。

ケーキを切る手つきが何だか嬉しそうで。
尻尾がついてたら、またぶんぶん振ってるんだろう。

ちょっと前なら。
同い年くらいの子に「もしよかったら付き合って下さい」なーんて言われたら、ぐらっときてるんだろうな。
まぁでも今は。

「先輩?」

「んー、なんでもないよ」

「ならいいスけど」

ゴーはそう言いながら、かなり大きいケーキにぶすっとフォークを刺した。
一口大に切るのかと思いきやそんな素振りは無く。

いや、ちょっと、それは…

「いくらなんでも大きくない?」

「えー?大きめくらいがいいんスよ」

「いやそんな大きかったら運ぶ途中に落ちるて」

「へーきっスよ」

何の根拠があるんだかゴーはそう言ってケーキを口に…

あ、ほら、落とした。
べちゃ、と派手に音がした。

「うわっ」

「だから言ったのにー」

「うぅ・・・」

「ほらほら動かない、服につく」

手を伸ばして、落ちたクリームを拭うと、

「んひぁっ!?」

ゴーの体がびくん、とはねた。

「え、なに?」

「いっ、いや何でも無いです!!」

耳まで真っ赤だ。

もしかして、

「ゴー、鎖骨弱い?」

「ちっ、ちがっ、せ、先輩が!いきなり来たから!!」

「驚いたならあんなコエは出ないっしょ」

「っっ!!!」

ゴーが慌てて口を押さえる。何を、今更。

「そっかー、結構意外かも」

「だから違いますってっ!!」

「じゃ、もっかい触っていい?」

「えぇ!?」

「だって、平気なんでしょ?予告したし」

「駄目です駄目です!!何言ってるんですか!?」

「えー、何で?」

「駄目だからです!!セクハラで訴えますよ!?」

「合意だよ」

「何でそうなるんスか!明らかオレ拒否ってますよね!?」

「だってそこまで言うとフリっぽいじゃん」

「フリじゃないっスよ!!」

このまま続けても仕方がないので、実力行使。
指を伸ばそうとするとゴーが慌てて抵抗する。

「…ちょっとゴー力強くなったんじゃない?」

「成、長期、っス、から!」

これで全力らしい所を見るとやっぱりまだまだだ。
いったん力を抜いてフェイントを掛けてから、ゴーの両手首を絡め取る。

「先輩ずるい!」

「ずるくないですー」

ずるい、とか言っている割にゴーは落ち着いている。
きっとおれは両手を離せないと思ってるんだろう。図星だけど。

「そう思っちゃうところが、まだまだ甘いんだよなぁ」

「え?」

ゴーが顔をあげる。

その隙をついて、ゴーの鎖骨に顔を近づけた。

「!?」

やっと気付いたらしいゴーが抵抗しようとするが、残念でした。もう遅い。

骨に沿って下を這わせる。

「ふぇあっ!?」

「ほらやっぱ弱いじゃん」

「ちがっ…やめっ…!」

名残惜しかったので最後にきつく吸ってから離す。
ゴールドの金の目は涙に揺れていて。

・・・やばい。理性持たない。

オレはまだ口につけっぱなしのクリームを舐めとった。









羽宮様からの相互リクで、鎖骨ネタな赤金です。


あとがき(のようなもの)↓
寸止めぇええぇぇええぇぇぇ!!!!
しかも、何この落差。めっちゃ長変わりすぎ・・・。


書き直し・苦情どしどし受け付けます!!


お持ち帰りは、本人様のみでお願いいたします。

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