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□人は埋めても治らない
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うるさい、と思ったのは自分の呼吸だった。

日ごろの事を思い、この程度を呼吸を荒げるなど、と自分に舌打ちをした。


ごとん。
目を見開いたまま『玄人』だった人が地面に落ちる。
同じく周りに転がっている三人がしっかり死んでいるのを確かめてから、ゴールドの元へと向かう。


目は閉じたまま。今の事を考えれば、良かったのかもしれない。

子供に撃たれた腹からはじわじわと血が滲み、地面を赤く染めていく。
その血のように、自分の内側でじわじわ広がっていくコレを、人は何と称したか。

華奢な腕を掴めば服越しにその冷たさが手に伝わって。
とっさの事だったとはいえ、ここに放置してしまった事を悔やむ。


傷口に障らないように丁寧に抱きあげたつもりだったのだが、ゴールドは目を閉じたまま顔をひきつらせた。
起きたりはしないようなので、そのまま運ぶこととする。



自分で殺した『狩り』の連中をそのままに。

背を向けて。
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