連載
□人は『約束』を破らない
1ページ/6ページ
-----腹が減った。
中途半端に満たした餓えは、無視が出来ないほどに体の中で渦巻いていた。
読みかけの本を本棚に押し込む。
ゴールドは、先ほど指定した部屋で眠っているはずだ。
あの様子からして自分から死ぬ事は無いだろう。それに少し安心した。
せっかく生かしたのに死なれては面倒だ。元も子もない。
ぐぅ、と腹が情けない音をたてる。
もはや限界か。
ランプの灯を消して、階段の一番下の段にマッチと一緒に置く。
書架庫は独特の空気を漂わせながら闇に沈んだ。
それを見送ってから階段に足をのせる。
狩場はどうしようか。
そんな事を思いながら階段を上った。