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□夜は探検しないようにしましょう
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廊下は肌寒かった。が耐えきれないほどではない。
かなり広い感覚ではあるが一定の距離でランプが点いている。探検するには十分だ。
右と左を交互に見ながらどちらに行くか考えていると。
「きゃあぁっ」
悲鳴。
オレにはそう聞こえた。
戻りなさい。理性がそう言った。
子供らしく布団に包まっていなさい。とも言った。
その通りだ。全くもってその通りだ。
が、足が動かない。
いや、正確にいえば動いている。
何というか、自分の意思の通りに動かないのだ。
悲鳴のした方向へと足が勝手に動いているのだ。
止まりなさい。理性がまた言う。
でも好奇心の方が勝った。
石造りの床の所為で足が擦れる。
それも気にせず、悲鳴のした方へ。悲鳴のした方へ。
耳元で、もう一度あの悲鳴が聞こえた気がした。