odai

□裏切りは良くないよ
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「梅の花 一輪咲いても 梅は梅」
「…あんた、それは副長の」
「大正解、素晴らしい土方さんの農玉発句集」
「また怒られるぞ」
「そんないつも怒られてるみたいな言い方やめてよ!」
「本当の事だろう」
「でもこれほんとにおもしろ…いや感慨深いって言うの?」
「今…面白いと言っただろ」
「違うよ!感慨深いって言ったの」
「とにかく早く元に戻してこい」
「あともうちょっとだけ!」
「あんたはそうやって何時まで経っても動かん。副長がいきなり来ても俺は知らん」
「その緊張感が病み付きになる」「…変人か」
「うわぁ、今のはいくら何でも傷付くよはじめちゃん」
「傷付きがてらに返して来い」
「そんなおまけみたいな言い方」
「俺は読んだ事がないから知らんが、発句集として纏めるぐらいだ。あんたが意味を理解していないだけじゃないのか?」
「そんな事言うなら読めばいいじゃん、あたしの事黙っててくれるなら黙っててあげるからさ」
「…本当か?」
「あたし心だけは近藤さんぐらいの広さだよ」
「一句だけだからな」
「一句で十分伝わると思う」
「公用に 出て行く道や 春の月」
「横に行 足跡はなし 朝の雪…」「ね、わかった?」
「…俺は句を嗜む事などした事がないからな」
「無理しなくていいよ、はじめちゃん…」



「てめぇ!人の発句集また盗みやがったな!…斎藤!?」
「げ、土方さん。これは総「副長の発句集の奪還を試みているのですが、中々強情でして」
「はじめちゃん!?」
「そうか、世話かけるな…」
「いえ、大事な作品なのでしょうから見世物の様な扱いをされては気の毒です」
「もうやだこいつ…!」


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