純情夢舞台

□純情ロマンチカ
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「すげぇ…」


「俺もそう思うよ」




 そして。黒いオーラバリバリの美咲に引きずられ、宇佐見秋彦大てんてーの住むマンションにやってきた。
 さすが金持ちの住むマンションは違う。



「ただいま―。桜井さん、どうぞ上がって。ウサギさん!話があるんだけど」


「…お邪魔しま―す…」




「……美咲、誰だ。それは」



 おおう。見られてるよ。それはもう睨まれているかの如く見られてるよ。



「俺の友達の桜井さん」


「…桜井 水城です…。突然お邪魔してすみません」



 一応、頭を下げる。



「ウサギさん。ものは相談なんだけど」


「…………なんだ」


「桜井さんを家に置いてあげてほしいんだ」




「…えぇ!?」



 何いっちゃってるの美咲くん!?



「何?」



 ほら!さすがの宇佐見秋彦も驚いてるよ!!?



「美咲、な…」


「桜井さんは黙ってて」


「ごめんなさい」



 あれ、おかしいな、目から汗が。
 これオレの問題なのにオレには発言権なしっすか。



「断る。なんの義理があって俺がこいつを家に置いてやらんといかん」



「だって、桜井さんは…俺の大事な友達だし、桜井さんは今住むとこもないんだ。家が見つかるまででもいいから!!」


「…………」



 美咲、あんなに一生懸命に…本当にいい友達持ったな、俺。



「…桜井、っていったな。」


「え、はい」

「…新居が見つかるまでだ」


「…っ」


「ウサギさん!」


「ありがとうございます…!」




 水城は深々と頭を下げた。



「よかったね、桜井さん!」


「…ん。本当にありがとう、美咲。おまえが居てよかった」


「大袈裟だって」



 秋彦は、水城と美咲が談笑している様をじっと見つめていた。
 かと思えばいきなり立ち上がった。



「…すまん。小説のネタを思いついた。部屋に行ってくる」


「え、ウサギさん?」



 宇佐見秋彦は小説のネタを思いついたらしく、部屋にいってしまった。



「…………」



「なんだよ突然…。ん?桜井さん、どうし…!!」


「…これは。」



 美咲が振り返ると、水城が本を持って固まっていた。


 性格には本の中身を見て。



「美咲、おまえ…」


「あ、あの、桜井さん、ちが…これは…」




 バンッ





「おい、桜井。喜べ。おまえを俺の小説のモデルにしてやる」


「んなっ!?」



 固まったまま動かない水城をなんとか覚醒させようと必死の美咲は奇声を発した。
 我にかえった水城は、目を丸くしてウサギを見る。



「小説って、この手の小説?」


「そうだ」


「べつにいいけど、俺生物学上女だぞ」



 その辺問題ないのか?
 水城は特に偏見はないため冷静だった。さすがに友人とその保護者がモデルなのには驚いて固まってしまったが。



「「女!!?」」



「美咲?おまえも?」



 ウサギだけならまだしも、美咲まで驚いていた。散々友達と言っていたわりに知らなかったらしい。



「ご、ごめん…だって、その……」


「…ふっ、そんな事言って逃げようとしても無駄だぞ」



「いや、嘘じゃな…」






 ぱふ。





「「「……………」」」




 バターンッ!!





「ウサギさん!?」



「てめー勝手に人の胸わしづかんで勝手に気絶してんじゃねぇよ!!」



 そう。ウサギは見事に気絶した。
 水城の胸は確かに女性特有の柔らかい膨らみがあった。




「…」





 ぱふ。



「「……………」」



 美咲は何を思うたか、水城の胸に手を置いた。



「…あ、本当だ」


「…美咲…?何を……」



 美咲の突然の行動に怒るよりも先に呆然としてしまった水城。



「いや、確認を…?」


「なんで疑問系」



 可愛いらしく首を傾げるが生憎手はまだ胸に触れている為台なしだ。



「そんなにわかんねぇかなぁ?女だって」



「桜井さんは中性的だよ?後上着がゆったりしたやつばかりで胸わからないし髪女の子にしては短めだから間違われるんじゃないかな?」



「…髪伸ばそうかなぁ…」



 思いきりため息。



「ま、俺はそんな桜井さんが好きだけどね!夕飯作ってくるからウサギさんよろしく」



「え?」




 今、美咲はなんと云った?




『ま、俺はそんな桜井さんが好きだけどね!』






「……え?」




 キッチンに行くと部屋を後にする美咲の背を、しばし呆然と見つめていた水城だった。









 
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