愛され人の日常
□純情ラブコール
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「…そういえば、桜井さんって高校の時制服学ラン着てなかった?」
「ん?あぁ、アレな」
「よくよく考えたらさ、それで多分俺桜井さんの性別間違えてたんだよね。何で学ランだったの?」
美咲の質問に、水城はフッと遠い目をして笑った。
「それはな…」
…それは、まだ高校に上がったばかりの頃の話。
「…ちょっと母さん!!」
バンッ
「どうやったら自分の子供の性別間違えて申請するんだよ!?制服学ランが届いたんだけど!!?」
<桜井 水城 16歳>
「ごっ…ごめんなさ〜い!で、でもでも水城ちゃんならきっと学ランも似合うわよ〜」
「いやそういう問題じゃないから!」
ぽややんと言う母に水城はつっこんだ。
「まあまあ、桜井。いいじゃないか。お前は何を着ても似合うぞ!何せ父さんと母さんの子なんだからな!」
グッと親指を立ててウィンクしてくる父に制服投げつけてやろうかと思った水城。
「…まぁ、もう届いちゃったもんは仕方ないし。高校生活はコレでいくか」
制服を注文し直せばいいのをそのまま諦める形で妥協するあたり、水城もしっかりこの両親の血を継いでいるのだということに気づいていない。
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「…で、そのまま高校生活を男子の制服で過ごしたってワケさ。動きやすかったしな」
「…なるほど。」
水城さんらしいと苦笑する美咲に桜井はへらっと笑う。
「それにしても美咲はよくオレのこと知ってたな?高校ん時あんま接点なかったろ?」
桜井の質問に美咲はニコッと笑って答える。
「だって俺一度廊下ですれ違った時に一目惚れしたから」
好きな人のことは目につくでしょ?
素朴な疑問をぶつけた桜井は、顔を赤くして狼狽えるはめになったとか。