†私立青春学園†(更新停止中)

□†咲乱華〜コートに咲き乱れた華〜†
5ページ/15ページ

―放課後



「向日!」

「おっ、終ったか!遅せーよ!!」

「すみません!少し長引きました!!!」

「海堂のヤツ帰ってなければ良いんですけど・・・。」

「出来るだけ急ごうぜ!!」


向日の怪我もあり、4人は早歩きで青学へと向かった。



―青春学園



「さーて、海堂はいるかな?」

「いれば良いんですけど・・・。」

「いなかったら最悪だぜ・・・。」

「・・・。あ。」

「どうした?日吉。」

「運が良かったですね。いましたよ。」


日吉の言葉に三人は正門の中を覗き込んだ。前方からは海堂が一人でコチラへ歩いて来る。


「よぉ、海堂。」


手始めに宍戸が海堂に声を掛けた。


「宍戸さん・・・。どうしたんスか?」

「ちょっと、話しがあってな。」

「話し?」

「越前君の事だよ・・・。」

「鳳・・・。それに、向日さんに日吉。」


宍戸の後ろには、前に病院で遇ったメンバーがいた。


「此処じゃぁナンだし、移動するか。」

「別に良いッスよ。」


海堂が答えると、5人は近くのファーストフード店に入った。


「それで、話しって何スか?」

「鳳。」

「・・・実は・・・。」


日吉が鳳に話す様合図すると、鳳は気まずそうに話し始めた。



「嘘・・・だろ?」


鳳の話しを全て聞き終え、海堂は信じられないという表情をしている。


「事実だ。実際、長太郎は母親から話しを聞いたんだからな。」

「けど・・・。」

「今日、越前は学校に来たかよ?」

「来てました。」

「部活は?」

「部活にも出てた。」


海堂の言う通り、リョーマは学校にも来てたし、部活にも参加した。


「検査の結果はまだ出ていない・・・。でも、越前君の病状は悪化しているかも知れない・・・。」

「越前は・・・俺達の為に・・・まともに治療を受けて無ぇのかよ・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」


4人は何も言えなかった。


「クソッ!!」


―ガタンッ!


「海堂!?」

「何処行くんだよ!!」


突然椅子から立ち上がった海堂に驚き、宍戸と向日は声を掛けたが、海堂は聞かずに店を出た。


「追いましょう!」

「分かってる!!」


鳳の言葉に日吉が答え、四人も店を出た。



「(越前・・・!!何でお前はそうなんだ!?何で、何で俺達の為に無理をする!!!)」


海堂は地区大会のリョーマVS伊武戦を思い出した。リョーマは伊武の『スポット』によって左瞼に負傷を負った。
大石が止める中、手塚が10分の条件を出して、試合を再開させ、勝利を収めた。


海堂はリョーマの家へと着いた。インターホンを鳴らすと、リョーマが出た。


「海堂先輩?どうしたんスか?」

「ちょっと付き合え。」

「えっ!?ちょっ!!」


海堂はリョーマの右腕を掴み、近くの公園へと入って行った。


「はぁはぁ・・・。おい、海堂・・・。」


海堂を追って走っていた日吉、宍戸も公園へ入って来た。鳳は向日のスピードに合わせているのでまだ来ていない。


「日吉さんに宍戸さん?海堂先輩、どうしたんスか?」

「テメェ・・・!」

「・・・!?」


いきなり海堂はリョーマの胸倉を掴んだ。


「海堂!止めろ!!!」

「そうだぜ!!」


慌てて宍戸と日吉が止めに入る。


「凄い事になりましたね・・・。」

「海堂の奴、キレてんじゃねーか?」


やっとの事で鳳と向日も辿り着いた。


「越前・・・!!何でお前はそうなんだ!?何で、何で俺達のために無理しやがる!!!」

「!?」


海堂の言葉にリョーマは目を見開いた。


「な、何がッスか?」

「惚けんじゃねぇ!!お前が病気に掛かっていて、全国へ行く為に治療を先延ばししてんだろうが!!!」

「何で・・・それを・・・。」

「俺の母さんが、越前君の担当だからだよ。」

「鳳さんの・・・?」


リョーマの問い掛けに鳳は頷いた。リョーマは自分の担当している看護士が「鳳」である事を思い出した。
まさか長太郎の母とは思いも寄らなかったが・・・。


「・・・。ねぇ、海堂先輩?」

「・・・・・。」

「それならさぁ、手塚部長も同じじゃない?俺達の為に左肩を痛めてまでさ・・・。」


リョーマはドイツで治療を受けていた手塚の事を持ち出した。


「それと同じッスよ。今のチームで全国へ行きたいんだよ・・・。」

「・・・けど、お前は・・・!?」


海堂の言葉はリョーマの手によって塞がれる。


「それ以上は・・・言わないで?分かってるから。俺は手塚部長とは違う・・・。
 でも、残されてる時間を・・・楽しませて?」

「・・・!!」


リョーマは自分の病状が悪化しつつある事を勘付いていた。それでもリョーマは自分の好きな事をして楽しんでいる。


「大丈夫だから・・・ね?」


微笑んだ・・・。リョーマは綺麗に微笑んでいる。誰もが見惚れる位、美しく・・・。


「越前・・・。無理・・・すんじゃ無ぇぞ・・・。」

「海堂先輩・・・。」

「海堂の言う通りだぜ?何かあったら誰でも良いから声掛けろよ!」

「宍戸さん・・・。」

「俺もさっさと足を治さなきゃな!!!」

「向日さん・・・。」

「越前君、全国頑張って下さいね。」

「鳳さん・・・。」

「負けんじゃねぇぞ。」

「日吉さん・・・。」


五人の想いがリョーマの心に入った。その想いを受け止め、先程の様に微笑み、


「ありがとう。」


と伝えた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ