†私立青春学園†(更新停止中)

□†危険信号†(R)
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数学の時間の時、リョーマの教科書にカッターの刃が挟まっていた。


「(あの先輩だね・・・。)」


最初は然程気にしてはいなかったが、嫌がらせはどんどんとエスカレートしていった。
そして、麻奈実はリョーマを呼び出した。


「アンタさぁ、これで懲りた?」

「別に。」

「そう・・・。」

「はぁ・・・。」


リョーマの溜息に麻奈実はクスッと笑った。


「先生とかに言ってみれば?全国大会に出られなくなっても良いならね。」

「どー言う意味?」

「私のお父さん・・・教育委員会副会長なの。
 私が男子テニス部のアンタにいじめられたって言えば、全国大会に行けなくなるわね。」

「そースか。」

「いい加減、海堂君に近付かないで欲しいんだけど!?」

「俺が近付いてんじゃないよ?先輩が話し掛けて来るだけなんだけど。」


海堂はリョーマが別れを切り出した理由を知りたくて、そして、自分の想いを知って欲しくてリョーマに何度か声を掛けに来ていた。
そして、海堂に近付くと泣き出し、抱きついてしまいそうでリョーマは海堂を拒絶して近付かなかった。

何より、写真が全校生徒に見せられるのが嫌だった。自分の為では無く、海堂の為に。


「それより・・・アンタさぁ、猫被ってるんでしょう?その性格、直したら?」


リョーマはその場を去ろうとした瞬間・・・


「うっ!?」


右胸付近に痛みを感じた。
視線をずらすと、麻奈実がナイフでリョーマの右胸付近を刺していた。


「アンタもあの女と同類ね・・・。本当に嫌なヤツ・・・!!!」


麻奈実はナイフを抜き取ると同時にリョーマを突き飛ばした。
リョーマはバランスを崩し、開いていた窓に寄り掛かった。


「(あ、危なかった・・・。)」


そう思っていると・・・


「越前リョーマ・・・。消えろ・・・!」

「あ・・・。」


麻奈実はリョーマの肩を掴み、反動を付けて、突き飛ばした。
リョーマの身体は傾き、窓の外へと落ちて行った。此処は2階・・・。


『越前・・・お前は青学の柱になれ!』
手塚部長―

『越前。行ってこい無茶するなよ。』
大石先輩―

『君は本当に凄いね。越前。』
不二先輩―

『おチビ―!!一緒に帰らにゃい?』
菊丸先輩―

『越前、このスーパーリミックス乾汁・・・飲んでみるか?』
乾先輩―

『越前、パワーまた上がったんじゃない?』
河村先輩―

『よし、越前!青学の優勝は・・・お前の手で決めろーっ!!』
桃先輩―

『このっ、馬鹿!!怪我したらどーすんだ!!』
『ヒヤヒヤさせんじゃ無ェ・・・!!』
『海堂先輩、今日一緒に帰れます?』
『悪い。今日は駄目だ。』
『海堂先輩・・・。』
『あ?どうした?』
『別れよう・・・。』
『なっ、何言ってんだテメェ!!』
『だって・・・海堂先輩、一緒にいてくれないじゃん!!
 俺より乾先輩と一緒にいる時間が多いじゃん!!!俺だって・・・寂しいんだよ!』
『サヨナラ・・・。』
海堂先輩―


窓から落ち、死の淵にいる今、リョーマは最期にレギュラーメンバー、そして・・・最愛の海堂を想った。

ドサッ!!!

リョーマの身体は思いっきり地面に叩き付けられた。


「さようなら。」


麻奈実はその場から去った。



手:「(ん?今、越前の声が聞こえた気が・・・。)」

大:「(越前・・・はまだ戻って来てないよな?じゃぁ、さっきのは気のせいか?)」

不:「あ・・・ガットが切れた。(何だろう・・・胸騒ぎがする・・・。)」

菊:「(何で、今、おチビの幻覚を・・・?)」

乾:「(越前・・・?)」

河:「(あ・・・れ?今、越前の声・・・聞こえた様な?)」

桃:「(何なんだ!?この感じは!!何か、モヤモヤしてきた?)」

海:「(チクショーッ!!何で越前の声が聞こえるんだよ!?)」


「(何なんだ!?)え?越前のヤツ戻って来て無いんスか?」

「ああ。まだ来てないな。」


図書室から戻った桃城は大石に先に戻った筈のリョーマが戻って来て無いと聞いた。
皆から離れた所に海堂の姿を発見した。


「おい、海堂。お前の所に越前・・・来なかったか?」

「来てねぇよ。」

「お前・・・越前の事どー思ってんだよ!!」

「なっ!?」


桃城は海堂の胸倉を掴み、リョーマが辛い思いをしていた事をぶちまけた。


「越前はなぁ、寂しがってんだぞ!?
 お前が乾先輩とトレーニングする為に一緒に帰れなくて、自分より乾先輩と一緒にいる時間が多いって!!
 俺は勿論、先輩達、華園も越前の事好きなのに越前はお前を選んだ!
 だったら、お前は俺達の代わりに越前を幸せにしろよ!愛してやれよ!!!」

「桃城・・・。」

「それに、お前・・・千田に告白されたんだろ。」

「・・・・・。」

「越前はそれすら気にしてるんだぞ!!」


「ああ、タカさん。お帰り。」


先生に用事を頼まれ、少し遅れて来た河村が部活に来た。


不:「越前見なかった?」

河:「越前?越前ならこの前、海堂に告白した女子と一緒にいたけど?」

海、桃:「「!?」」


「海堂!桃城!」

桃:「華園?どうした?」

桔:「大変だ!越前が・・・!!」

海:「越前・・・。」

大:「越前に何かあったのか?」

桔:「説明しようが無いですが、とにかく来て下さい!」


レギュラーメンバーは桔梗の後に続いた。
そして・・・皆が目にしたのは、胸が血だらけのリョーマだった。


海:「越前!!」

桃:「おい・・・。嘘だろ・・・。」

菊:「おチ・・・ビ?」

乾:「・・・・・ハッ!誰か、先生に知らせるんだ!」

河:「俺が行って来るよ!」

大:「越前―!!!」

不:「どうして・・・。君、何時気付いたの?」

桔:「さっき・・・図書室で借りた本を朝、此処に置き忘れたのを思い出して、来てみたら・・・!!」


桔梗の眼からは涙が溢れ出ていた。


「此処はあまり生徒は来ないから・・・。君のお陰で越前を発見出来たよ。ありがと。」

「リョーマ!」

大:「竜崎先生!!」

竜:「河村から話しは聞いた。今救急車を呼んだから直に来てくれる。」


そしてリョーマは病院に運び込まれた。
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