†私立青春学園†(更新停止中)
□†羞恥心†
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†羞恥心†
俺は負けた・・・。
相手は相手校の部長で、俺がちょっと気を抜いた隙にポイントを取られていて、いつの間にか惨敗してた・・・。
「はっ・・・。激ダサだな・・・俺・・・。」
遠くで跡部が監督に結果報告をしている。恐らく俺の代わりの奴の話をしているに違いないだろうな。
アイツ等と同じ場所にいるのが嫌になり、俺はさっさと会場を後にした。
こんな気分で家に帰れる筈が無い。俺は当ても無く歩き続けた。
ふと見ると、長い階段があった。そこは、時々訪れるストリートテニス場だ。
何気無しに階段を上り、コートを見た。
誰もいない・・・。
俺はテニスバッグを降ろし、ラケットを取り出して壁打ちを始めた。けど、何度やっても失敗ばかりする・・・。
「クソッ!!」
俺はラケットを叩き付けた。そこへ・・・
「何やってんの?ラケット壊れるよ。」
「・・・!?」
振り向くと、そこにいたのは噂の青学の一年ルーキー・越前リョーマだった。
「お前・・・越前じゃねぇか・・・。」
「アンタ、俺の事知ってんの?」
「あぁ、試合の帰りに見ただけだ。」
「フーン。で、アンタはラケットを叩き付けて何してんの?」
越前は当たり前の疑問をぶつけて来る。
「テメーには関係ねぇだろ・・・!」
「確かに関係無いけど、同じテニス選手としてラケットをそんな風に扱われるのを見ると嫌になるんだけど。
何?大方、試合に負けたから八つ当たり?そーゆうの止めてくんない?」
「ウルセェッ!!」
「・・・。」
ハッ、マジで見っとも無ぇ・・・。
「笑いたきゃ笑えよ・・・。」
「別に可笑しくないんだから笑えないんだけど。」
「!?」
「試合に負けるなんてある事じゃん。だったら俺の所の先輩達はどーなるの?
入部したばかりの一年に倒されてレギュラー取れなかった先輩とか・・・。
他にもいっぱいいるんじゃない?アンタとかと同じ人が。
俺だって毎日負けてるよ?」
「えっ!?」
俺は驚いた。
まさかこの越前リョーマが負けるとは思ってないからだ。
「負けるけど、それを背負ってたら前に進めないよ?
だったらそんな重いものを捨ててしまえば前に進めるんじゃない?」
何故だ?目尻が熱くなるのを感じた・・・。
気が付いたら、涙が俺の頬を濡らしていた。
「―ッ・・・。マジ激ダサ・・・だな・・・。」
「はぁ・・・。泣かないでよ。アンタに涙なんか似合わないんだよね。
・・・今日の羞恥心、明日に持って行きな。そしたら、もう負けないよ。」
そう言って、越前は帰って行った。
そうだな・・・。
今日のこの気持ちを明日に持って行ってぶつければ、負けねぇかもな・・・。ありがとよ・・・越前・・・。