お題小説

□大好き
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暁のアジトにあるサソリの自室。

コレクションの手入れに勤しむサソリの横でデイダラが床の上でゴロゴロと転がっている。

自分をそっちのけで、コレクションを楽しそうに弄くっているサソリにデイダラが非難の声を上げる。

「旦那・・・・オイラが折角、旦那の顔を見に来てんのに・・・可哀相なオイラの相手をしてやろうって気にはならないのかい?うん。」

デイダラの言葉に、サソリは自分の手を止めず

「自分で可哀相とかって言ってんじゃねぇよ・・・・。暇なら飛段と角都の所でも行って遊んでもらえ。」

そう、言い切る。

頬を膨らませるデイダラ。

あまり、煩くすると部屋から追い出されそうなので、デイダラは暫く黙ってサソリを見ていた。

が、それも長続きしない。

「ねぇ・・・旦那・・・。」

「今度は何だ。」

面倒くさそうに答えるサソリ。

コレクションの手入れをしている時のサソリはいつもこんな感じなので、デイダラも特に気にした様子はない。

「大好き!!」

突拍子もないデイダラの言葉に、一瞬サソリが手を止めたが、直ぐに手入れを再開する。

「知ってんよ・・・・。」

しれっとした声で答えるサソリ。

床に転がって頬杖を付くデイダラが更に口を開く。

「旦那は?オイラの事、好き?うん?」

告白はデイダラからだった。

サソリを好きだと言って、サソリはそれを受け入れた。

しかし、デイダラ自身、サソリから自分の事をどう思っているか聞いた事がなかった。

期待と不安でデイダラの心臓が早鐘のように脈打つ。

ずっと、聞きたくて堪らなかった。

真剣に聞くのも、気恥ずかしくってさり気なく聞ける時を窺っていた。

デイダラ本人は、さり気なく言ったつもりだが、かなり不自然だ。

そんな事には気付かないデイダラは、サソリの次の言葉を待った。

「・・・あぁ・・・そうかもな・・・・。」

サソリから返って来た言葉は、デイダラの期待にそぐわぬ、あやふやなものでデイダラがガックリ項垂れる。

「そうかもって・・・なんだよ・・・うん。」

俯いた顔を勢いよく上げてデイダラがサソリを見上げる。

「そのままの意味だ。」

コレクションを丹念に磨きながら、静かに答えるサソリの声にデイダラが

「旦那の馬鹿〜〜!!」

っと、近くにあった傀儡の部品をサソリに投げつけ、猛ダッシュで部屋から飛び出した。

「コラァ〜〜テメェ、デイダラ!!なんて事しやがる!!」

サソリの怒りの雄叫びも虚しく、走り去ったデイダラには聞こえない。
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